来年2024年の大河ドラマの主人公は紫式部。

当然彼女の書いた「源氏物語」も注目されています。日本最古の長編小説として世界的にも有名な源氏物語ですがちゃんと読んだことはないという人も多いのではないでしょうか。

"古典を読む"ことに身構えてしまう、そんな人にこそおすすめの一冊がこの「ミライの源氏物語」です。


著者の山崎ナオコーラさんは源氏物語研究の盛んな大学に進み、卒業論文も「『源氏物語』浮舟論」というまさに源氏漬けの大学生活を送っていたそうです。

また、ご自身は「ジェンダー(性役割)に興味があって(途中省略)自分の性別は曖昧にしており、『なぜ人間はカテゴライズをしてしまうのか?』を考えることをライフラークにしています」(本文より引用)

そんなナオコーラさんが源氏物語をどう読むのか。

帯には「ルッキズム」「ロリコン」「マウンティング」「性暴力」といった現代的用語が並びます。

実は「源氏物語」とは無縁ではありません。いまだったら社会規範的にアウトとされていることがこの物語では当たりまえのように書かれています。言葉の壁は多くの作家や研究者が乗り越えようとしてきたけれど、価値観や社会規範の壁には触れてこなかった。その違和感にナオコーラさんは目を向けます。そしてそれでも「源氏物語」は私たちに必要で興味深いストーリーなのだと教えてくれます。

谷崎潤一郎、与謝野晶子という文豪から瀬戸内寂聴、林真理子、角田光代という層々たる作家が現代語訳を手掛けていている「源氏物語」

山崎ナオコーラさんも現代語に訳する夢をお持ちです。きっとその日は近そうです。

 

 

ミライの源氏物語
山崎ナオコーラ/著
淡交社
1,760円(税込み)