今回ご紹介する本は、椹野道流著『祖母姫、ロンドンへ行く!』です。
著者と親戚一同が集まったある年のお正月。祖母がふと「1生に一度でいいからイギリスに行きたい。お姫様のような旅がしてみたいわ」と漏らしたことで突如発動した「ロンドンお姫様旅行計画」。飛行機はファーストクラスで、宿泊先はロンドン中心部の五つ星ホテル。孫娘と2人の5泊7日の豪華イギリス旅行を綴った話題のエッセイです。

祖母改め祖母姫は、とにかく自己肯定感が異常に高く、美しいものや豪華なもの、優雅なものが大好き。強さと気高さを兼ね備えた、スーパーエレガンスな姫なのです。そんな祖母姫の要望に、最上級のもてなしでこたえる、キャビンアテンダントやホテルのスタッフ、百貨店の店員・・・。数々のトラブルや祖母姫のリクエストにこたえるプロフェッショナル達の言動が本当に素晴らしく・・。(私の推しのキャラクターは2人の宿泊するホテルのバトラーのティム。読者全員が好きになること間違いなしです!)

描かれるイギリスでの毎日は刺激的で華やかで、最高に面白い!数ページに1回は声を出して笑ってしまうほど、2人の旅行がコミカルに描かれています。

そうかと思えば、ふと出てくる祖母姫の金言や、プロフェッショナル達の言葉に、背筋がシャンとさせられたり、涙がじわりと出てきたり。           正直読む前は「孫がおばあちゃんとロンドンに行くだけの話なのでしょう...?」と思っていたのですが、いい意味で裏切られました。祖母姫がエレガンスである所以がところどころに散りばめられ、孫娘の幸せな日々が詰まった最高の1冊です。

本書を読まれる際は、おいしい紅茶とスコーンを、お供にするのがおすすめ。94歳のちぎり絵作家、セツさんの可愛らしいスコーンの表紙が目印です。ぜひ店頭でお買い求めください。

おばあちゃんとロンドンに行く、ただそれだけの、特別な1冊。
椹野 道流/著
小学館
1,760円(税込)