現代を生きる忍者の
リアルでシュールで苛烈な姿を見よ

かつては栄華を誇った忍者たちも、戦後、GHQによって組織解体されてしまった――
だが、彼らは現代も生きている。
実に20万人(!)いるともいわれる彼らは、世界の裏面に潜伏し、数多の組織の中で暗躍しているのだ。

今回は、『アイアムアヒーロー』でおなじみ花沢健吾の、『アンダーニンジャ』をご紹介します。

雲隠九郎は、忍者の中でも最底辺の下忍。仕事にあぶれ、鬱屈としたニート生活を送っていました。
ある日、九郎のもとに、とある高校に潜入せよとの忍務(忍者の任務)が舞い込みます。九郎は支給された最新装備に身を包み、仲間たちとともに行動を始めるのでした。

現代に忍者がいたらこうだろうな、というリアリティの秀逸さがまずは大きな見どころ。
例えば、落下時の衝撃をエアバッグのように吸収するパーカー。透明になって姿を隠せたりすることも。手裏剣はドローン内蔵で標的をどこまでも追尾。支給品は宅配便で来ます。高性能AI搭載のバイクは女性好きのあまり、男性が乗るのを拒否。LINEで指令が来、グループ名が「9-1」(くノ一)になっていたり。


無駄にリアルな九郎のニート生活もポイントです。暇つぶしに爪楊枝とストローで吹き矢を作ったり、卓越した身体能力から繰り出されるパルクールをしょうもないことに使ったり、どうでもいいようなゆるい掛け合いなど、脱力は必至です。
その一方で、戦闘描写は容赦がなく、苛烈そのもの。九郎の能力の高さが存分に発揮される中、それだけではままならない展開もあり、どのような心持ちで読めばいいか分からなくなってしまうほど。
この緩急の差の大きさが、強烈な魅力になっているのです。

マンガ好きの間ではすでに高い評価を得ている本作。秋にはアニメも始まります。
『カムイ伝』とも『NARUTO』ともまったく違う、リアルでシュールで滅法面白い忍者マンガです。ぜひ。

アンダーニンジャ ①
花沢 健吾
講談社
759円(税込)