メメント・モリ(memento mori)とは、「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」「人に訪れる死を忘ることなかれ」という、ラテン語の一節である。

 

様々な示唆に富むこの文言はこれまでも、文学・芸術の分野において、作品のモチーフとしてよく使用されてきたものでもある。

 

「誕生」することによって、生命はその歩みを始めることになるが、どのような道のりを歩んだとしても、その行きつくところが生命としての終着点すなわち「死」である。聖人であろうと、悪人であろうと、天才であろうと、凡人であろうと、それは変わらない。

 

「何のために生きているのか」という問いは、誰しもが思い浮かべてきたことだろう。

 

そんな言葉をタイトルにして、ヨシタケシンスケ氏が著したものがこの『メメンとモリ』である。

 

冷静な姉の「メメン」と、情熱的な弟の「モリ」。そんな二人に訪れた、日常の中の何気ないふとした瞬間から、「生きている」ことへの問答が始まる。「人生」について思いをはせながら、弟のモリに語りかけるメメン。そんなメメンの言葉に、色んな気づきを見出すモリ。

 

・・と記すと、なにやか小難しい内容のように思えてしまうが、そこはヨシタケシンスケ氏の世界。しみじみと考えさせておきながら、思わずクスッとしてしまう場面があったりもする。

『メメンとモリ』
ヨシタケシンスケ
KADOKAWA
1,760円(税込)