映画化され大ヒットとなった『火星の人』で、デビュー1作目にして最も注目されるSF作家の一人となったアンディ・ウィアーの長編3作目。

突如として太陽が急速にエネルギーを失い始め、あと30年ほどで氷河期を迎えることが判明した近未来の地球。
その原因を排除し太陽の光を取り戻すという、全世界が一丸となったプロジェクトが実行されることとなった。
主人公の男は科学のスペシャリストとして作戦に参加し、人類を救うため他2名のとともに地球を後にした。
たが宇宙船の中で目を覚ました時、彼は自分の名もわからない記憶喪失に陥ってしまっていた。
その上、頼りになるはずだった他のクルーは何らかのトラブルにより既に二人とも死亡していたのだ。
たった一人で生命の存亡の危機に挑むこととなった男は、はたして無事目的を遂げることができるのか。

というのがおおまかなストーリーの流れです。
ある男が地球から遠く離れた場所でひとり困難に立ち向かう、という筋書きは『火星の人』を知っている人には「またそれか」と思われるものかもしれません。

ですがこの話にはそれだけでは終わらない、とっておきの展開が待ち構えています。
上巻の中盤、予想外の出来事に主人公が思わずひとり叫ぶシーンでは、あなたもきっと驚嘆の声を上げるでしょう。
そこからは先はページをめくる手を止めるのが不可能なほど話に引き込まれてしまいます。
そして知恵と工夫、決して折れない心で様々な事態に対処していく姿、彼が下すある決断に胸が熱くなること間違いありません。

デビュー作より格段とパワーアップした、特大スケールのエンタメ作品。ぜひたくさんの人に読んでいただきたいと思います。
プロジェクト・ヘイル・メアリー
アンディ・ウィアー/著 小野田和子/訳
早川書房
上下巻 各1,980円(税込)