2019年の国内ミステリー賞で5冠を達成した衝撃作「medium 霊媒探偵城塚翡翠」が文庫化されました。

本書は霊媒師である城塚翡翠とミステリ作家の香月史郎の2人が、互いの能力を活かして殺人事件に挑むという、いわゆるコンビものです。

霊能力がある翡翠には「被害者の見た最後の光景」が視え、「人の抱く罪の意識」が感じ取れてしまうため、事件の真相あっけなくわかってしましまうことさえあります。
とはいえ当然、霊視なんてものは証拠になりません。そこで作家の香月が「犯人は○○」という結論ありきの状態から証拠と霊視の双方に矛盾のない理論を組み立てる、という通常のミステリーとは違ったアプローチで解決に向かいます。

ですが、それは第3話までのこと、最終章第4話の展開こそが絶賛を受け、傑作であることを決定づけたのです。
これ以上の紹介はやめておきます。5冠の栄誉に嘘偽りはありません。ぜひ読んでみて下さい。
単行本版の帯には大胆にも「全てが伏線」と大きく書かれていました。恐らく読後になれはあなたにもその意味が分かるでしょう。
medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢 沙呼
講談社
990円