ほしいものが、あった。

精緻で温かい絵と、他にはない不思議な作風の絵本作家、
junaida氏の新刊『街どろぼう』をご紹介します。

山の頂上にひとりで住む巨人は、いつもさびしさを抱えていました。
山のふもとには街がひろがり、たくさんの人たちが住んでいるというのに...
ある夜、巨人は孤独のあまり、こっそり街から一軒の家を山頂に持ち帰り、
家に住む家族と一緒に暮らそうとしますが...

物語の途中では、巨人が100軒ほどもありそうなくらい
たくさんの家を持ち帰ろうとする場面があるのですが、
家々のぎっしり具合はまさに圧巻です。
『michi』や『逆ソクラテス』の表紙を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「ぎっしり」とか「みっちり」というのは、
junaida氏を語る際にひとつのキーワードになりそうです。

山頂に人が増えても表情が晴れることのない巨人。
でも、物語の最後には曇りのとれた晴々とした表情になります。
その最後のページの絵をぜひみていただきたい!
胸温まる様子に満ち溢れているのを感じていただけるはずです。
ほっこりがみっちりです。

クロス装に箔押しの装丁も美しい一冊、ぜひ。

街どろぼう
junaida
福音館書店
1,650円(税込)