『リンドバーグ』『アームストロング』につづく、ネズミの大冒険 第三弾です。

 

ネズミ大学の教授のもとへ、子ネズミのピートがたずねてくる。

先祖がのこした宝さがしを手伝ってほしいと...。

ピートの好奇心と教授の知識で、やがて宝のありかをつきとめる。

それはなんと、大西洋の海にしずんだ船のなかだった...。

2ひきのネズミは、どうやって海底までたどりつくのか―

先祖の宝とは!?エジソンとのつながりとは!?

 

トライ&エラーを繰り返しながら、さまざまなアプローチで海底にたどり着く方法を探すワクワク感、

たどり着いた先での壮大な冒険のドキドキ感と、大人にも読んでほしいシリーズですが、

特に胸に残るのは、素晴らしい絵の数々です。

 

ネズミの視点で描かれた構図はどれも面白く、

懐中時計は大きな掛け時計に、狭い廊下は闇が降ってくるような広大な空間に変わります。

精緻でいながら暖かみのある画風は、いつまでも見ていたくなり、

時に文章より雄弁にストーリーを、情景を語ってくれます。

 

ウィットに富んだラストまで読み進めたあなたは、

自分が満面の笑みを浮かべていることに気付きながら

本を閉じることでしょう。

エジソン ネズミの海底大冒険
トーベン・クールマン作 金原瑞人訳
ブロンズ新社
2,640円(税込)